『住まいるブログ』~知って得する住まいの基礎知識~
家を建てる工程の中で、とても重要で難しいのが土地選びです。
土地には2つと同じものがありません。隣り合っている土地でも、面積や日当たり、どんな道路に面しているのか(接道)など条件はあれこれ違います。
しかし土地がなければ納得のいく家づくりはできません。そのため、自分や家族のニーズに合う土地を選ぶのはとても大切な のです。
さらにたいていの人は人生に1度しか経験しないので、何から始めればいいのかわからないのが普通です。
そこでこのページでは土地の選び方を5つのステップに分け、それぞれのステップについて解説する記事をまとめました。
以下の各記事のリンクから知りたいステップの記事(順次公開予定)を読めば、失敗しないために必要な土地選びの知識が身につきます。
ステップ1:家族と相談しながら、優先する条件を決めてエリアを絞り込む
土地選びの最初のステップは「どんなところに住みたいか」を考えることです。
「○○沿線」とか「○○駅の近く」「○○市内」など、家を建てたいエリアをまず選んでみてください。
その際に考えるべき条件は交通利便性、生活利便性、行政サービス・生活インフラ、子育て・教育環境、住環境、地域の将来性などいろいろあります。
こういった条件のどれを重視すればよいのでしょう?
答えは家族ごとに違うので、家族にとって大切なものは何なのかを見つめ直すと、優先順位を決めやすくなります。
優先順位が決まったら、それをもとに条件に合うエリアを探します。
たとえば、1番目が「子育て・教育環境」、2番目が「交通利便性」なら、都市部へのアクセスがいい鉄道沿線にある郊外の住宅地を探す、といった具合です。
ステップ2:希望の間取りをもとに、どれくらいの広さの土地が必要かを決める
エリアが決まったら次に考えるのは「どんな土地が必要か」ということです。
「どんな」の中には、広さや形、方角などいろいろな要素が含まれますが、まずは広さについて考えてみましょう。
必要な土地の広さは間取りによって決まります。
ですから、大まかでいいので、どんな暮らしがしたいのかイメージしながら、間取りのことを考えてみてください。
考え方はいろいろですが、たとえば、子供が2人いたら、子供部屋は2つ欲しいですよね?
親子4人でくつろげるリビングも欲しい……そんな風に条件を出していくと、大まかな間取りが見えてくるので、その間取りを実現するために必要な土地の広さがわかります。
ただし、土地には法律や条令による取り決めがあるので、いっぱいいっぱいに家を建てることはできません。
道路や斜面などから一定以上離れていなければならないという規定(セットバック)や、敷地面積に対して建物面積の割合(建ぺい率)、敷地面積に対する2階や3階を含めた建物の延べ床面積の割合(容積率)などが定められているため、それに照らして、必要な土地の広さを決める必要があります。
ステップ3:土地の形や向きについて考える
必要な土地の広さがわかったら、次に考えるのは家を建てる土地の形や向きです。
土地にはさまざまな形状があります。一般に長方形や正方形の土地は整形地、それ以外の土地は不整形地と呼ばれます。
町中で目にする家の多くが整形地に建っていることでもわかる通り、使いやすいのは長方形や正方形の土地です。
たとえば、図の①は旗と竿のような形をしているので、「旗竿地」と呼ばれる不整形地です。
「竿」にあたる幅が狭い部分は使いにくいため、たいてい価格は低めです。
その他の不整形地についても、同じ立地にある整形地に比べると価格は低めなので、「私は気にならない」「むしろこんな使い方をしたい」と考えている人なら、検討してみる価値は大きいでしょう。
土地の向きについても同じことが言えます。
通常は南向きに家を建てやすい土地が好まれ、価格も高めです。
次に人気なのが東向き、さらに西向き、北向きという順番になります。
でも、「夏に暑くない家を建てたい」といった希望が強いなら、北向きの土地もありでしょう。
こんな風に、土地の形や向きについても、家族の希望や暮らし方に照らして、どんな家を建てるかを考えることが大切です。
ステップ4:周辺環境や土地の履歴、地盤を調査して、安心・快適に生活できるかどうかをチェックする
エリアを決め、広さや形、向きなどの条件に照らして「ここがいいかも」と思える土地が見つかったら、次にやるべきことは安心・快適に暮らせるかどうかの確認です。
安心につながる要素として、最近では地震やゲリラ豪雨といった災害を心配する人が増えています。
地域のハザードマップなどで確認したり、地盤について調べたりしてみると安心できます。
また騒音やにおい、治安、あまり好ましくない施設の有無など、周辺環境のチェックも欠かせません。
「大きな工場が近所にある」「歓楽街に近い」「駅からのルートに街灯が少ない」など、人によってマイナスと感じる条件はさまざまです。
それとは反対に「評判のいい学校の校区」「緑が多い」など、プラスの条件にも注目してみてください。
ステップ5:候補にあがった土地の価格を調べ、予算に合うかどうかを確認する
土地を選ぶ過程で気になるのはやはり価格でしょう。
予算以内におさまる土地を選ぶためにはあらかじめ「だいたいどのくらいになりそうか」を調べながら、エリアや広さについて考える必要があります。
しかし土地には2つと同じものがないので、実際にいくらで購入できるのかは土地の売主や仲介会社と話をしてみないとわかりません。
とはいえ、国の機関が評価した土地の価格である「公示価格」や市街地の道路に面する土地の1平方メートルあたりの価格を示す「路線価」など、公開されている情報からおおよその価格を推測することはできます。
インターネット上で確認できることも多いので、調べてみるのがおすすめです。
まとめ
土地は家の基盤となるものなので、どれだけ慎重に選んでも慎重すぎるということはありません。
この記事では土地選びの基本的なステップについて解説しました。より詳細な内容については、順次公開予定の各ステップのリンク先の記事をご一読ください。
しっかり勉強した上で、自分で土地を探すのもよいのですが、プロである住宅博に出展しているハウスメーカーの担当者に相談してみるのもおすすめです。
<この記事の監修者>
小川哲男(オガワテツオ)氏
不動産鑑定士、司法書士、宅地建物取引士、大阪地方裁判所鑑定委員、枚方市固定資産評価委員会委員(委員長)、枚方市不動産取得等委員会委員、枚方市空家対策協議会委員、学校法人関西大学評議員。
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